3、飯食めしくわぬ女房にょうぼう(1)

昔話を読む

  昔、あるところに一人の男がいた。男は、けちなうえになま もので、掃除や洗濯もしなかった。だから、部屋はたいそうきたな、中に入れば体中ほこりまみれになるほどで、どろぼうも逃げ出すありさまだった

  友達は「いつまでもそんならしを続けるのはよくない。早くおよめさんをもらえ。」と言うのだが、男は友達の心配をよそに、「確かに家は汚いけれど、おれおれなりに楽しくらしているよ。一人なら余計な金もかからないし。」とまった気にしていない。「まあ、何も食べないよめならもらわないでもないがね。」などと言うしまつで、友達もあきれてそれ以上は何も言わなかった。

  ある日の夕方、男の家にわか女がたずてきて、「どうか私をお嫁さんにしてください。掃除なり洗濯なり、※お前様まえさまのおっしゃることは何でもします。それに私は物を食べません。」と言った。「それは結構けっこうずくめな話だ。」と男は大喜おおよろこして女をよめにした。

  女は働きものにして美人、さらに食べ物はおろか一滴いってきの水すら口にしなかった気立きだても良く、文句もんくも言わずに男のために食事を作り、掃除や洗濯をした。おかげで男のなりも家も、見違みちがえるようにきれいになった。けちでなまものの男からすると、これ以上の幸運こううんはない。働き者のよめをもらった男は、前よりもっとなめものになった。

※お前様まえさま:昔使われた、相手を丁寧ていねいに呼ぶ言い方。

语法:


16、ほこりまみれ

  • N + まみれ

  • *「ほこり・あせあぶらどろ」などの言葉と一緒に使われる。

  • 满是…,全是…

  • “整个表面都粘着令人不舒服的东西”,也可用于表示陷入不好的状态无法摆脱的样子。

  • 消极语境

17、友達の心配をよそに

  • N + をよそに

  • 不在乎,不在意…(好像和自己无关地不在乎地做某事)

18、おれなりに

  • P1(普通形[なA N]) + なりに + N
  • P1(普通形[なA N])  + なりの + N
  • 对应…的立场或水平
  • …虽然不够但尽力

19、もらわないでもない

  • 用于不想直截了当地说“是…”时
  • “如果条件吻合,…的可能性并不为零”

20、言うしまつ

  • 一直发生不好的事,最终导致…不好的结果
  • 消极

21、掃除なり洗濯なり

  • 用于列举自己想到的例子,常常用于向对方提议或给对方意见、提醒对方时。

22、結構けっこうずくめな話

  • N + ずくめ

  • *「黒・白・いいこと・失敗・ごちそう・規則」などの決まった言葉と一緒に使われる。

  • “大部分都被…所占/持续…”

23、働き者にして美人

  • 表示“…有A、B两个方面”
  • 书面语

24、食べ物はおろか一滴いってきの水すら口にしなかった

  • 和“也、连、甚至、都”一起使用,用于想说“A就不用说了,比A程度还低的B也不…”。
  • 消极

25、水すら口にしなかった

  • N +(助詞じょし)+ すら
  • 「〜すら」の前の助詞は、後に続く動詞によって変わる。
  • 「〜か+すら」のかたちも使われる。
  • “其他就不用说了,连…也…”。多用于否定的情况。